というわけで公開初日に消失を観てまいりました。

まずは冒頭。キョンがおなじみのひとり語りをしながら教室からSOS団の部室まで歩いて行くだけのシーンが
あったんですが、ここでもう京アニの脅威…いや狂気のクオリティをみせつけられました。
とにかく教室やら廊下のモブキャラが動く動く! 動きすぎでそっちに意識が向いてキョンの語りが耳に入って
こなかったぐらい。それにしても冬なのに北高みんなスカート短かいね。

そして消失世界に移ってからのキョンの不安や孤独、絶望感を、これでもかと観る者に感情移入させる演出や演技は
見事の一言。目まぐるしく変わる表情や、キョンを画面真ん中ではなく端に寄せた位置に配置して、世界でただ一人
取り残された立ち位置の脆さを強調させるかのようなレイアウト。肺の奥の奥から息を吐ききるような絶望のため息、
そして絵とばっちり合ったまさに「劇伴」と呼ぶに相応しい音楽…(神前さんはやはり歌の作曲の印象が強かったけど
今回の劇音楽は本当に堂々とした仕事ぶりでした)、それらが合わさって消失の世界にグイグイと引き込まれていき
ました。

そういや、キョンがハルヒに電話をしようとした時に携帯に佐々木の名前が2度程映ったそうですね。佐々木好きを
公言しておきながら全く気づきませんでした。
ただね。言い訳させてもらえるなら、あの時はキョンに感情移入しすぎていてハルヒの名前を探すのでいっぱいいっぱい
だったんです!

で、まぁ…長門ですよ。
消失長門に関しては「可愛い!」とか「萌え」とかじゃない、なんかもう見てて凄く動揺させられるインパクトがありました。
部室届けを返されてぶわっと顔を崩す所なんて、見てる時に「ヒィツ!」ってリアルに声漏らしちゃいましたからね。
いやもう本当に消失長門は見てて心臓に悪い。ハートキャッチですよ。

長門ときたら朝倉さんですが、こちらもなかなかに心臓に悪かった。
登場シーンなんて完全にホラー。今回京アニはクラナドでは幻想世界でしかやらなかったフルアニメーションを結構
多用してましたけど、朝倉登場シーンのぬるぬるした動きなんか怖かったですね。
修正プログラム発動時のドスの効いた「許さないから」や、ナイフをさせてくるくる、長門の前でくるくるも良かったけど、
とどめの一撃を与えようとする直前のピンぼけになるくらいの顔のドアップシーンがたまらなかったです。

他に印象に残ったシーンとしては、キョンが谷口に「このタコ野郎!」と詰め寄ってから光陽学園に向かうところは、
音楽の相乗効果もあって胸が熱くなりました。時をかける少女の「変わらないもの」が流れるシーンを思い出しました
ね(どっちも坂を下っていくし)。

劇中、キョンはSOS団全員に自分の服を貸してあげてるんですよね。まぁハルヒと古泉に貸した体操服は学校潜入の
ためでしたが、みくると長門にはコートを貸してあげ、長門に至っては自分で着せてあげてる。
動物のマーキングじゃないですけど、SOS団の絆を大事にしてるんだなぁと感じました。


で、もとの世界に戻ってきた病院の屋上で、「雪」を「有希」のイントネーションで読んでみたり、コートのフードを
かぶせてあげたり、片膝ついて手をとったりと、そのまま結婚式でもやりかねないシーンに悶絶。
その一方で、血を浴びて驚愕したままフェードアウトしてしまった消失長門が不憫だなぁ…と「優しい忘却」を聴きながら
思っていると、最後にやってきた図書館シーン!
「ここで消失世界での長門とキョンの出会いのシーンがくるのか!?」と思ったんですが、そうではなかったですね。
観賞直後はそれがちょっと不満だったんですが、その後、2ちゃんのスレで『最後のシーンの長門は図書館の男の子と
女の子のやりとりを見て微笑んでいるのを本で隠している』という考察を読んで、グッときました。

この長門にはちゃんと消失長門の記憶も統合されて残ってるんだな、…って。


兎にも角にも素晴らしい映画でした!
あと4、5回は劇場に通いたいなぁ…。

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